オークヒルズ市における爆弾爆発より20日後 14:40 ハフマン島 ノース陸運本社近辺
私は現場から少し離れたところから双眼鏡で様子を窺っていた。
とは言っても目的はただ一つ、見つかったのが本当に爆弾かどうかである。
運び出される物体を見る限り、資料で見たものと同一に見えるが、、。
恐らくこの後軍の爆弾処理班に引き渡される筈であろうから、そこで確認を取るしかない。
爆弾、らしきものは運び出されていった。
オークヒルズ市における爆弾爆発より20日後 15:20 ハフマン島 バリンデン 強行偵察隊本部
私は一度強行偵察隊本部へ戻った。
そこで本部の女性伍長から手を回してもらって爆弾の確認をすることにしたのだ。
本部に着く前に連絡しておいたせいか、伍長はすぐに来た。
「准尉、例の爆弾ですけど、海防軍ニューミルガン基地に運び込まれて、そこで爆弾処理班が無力化したそうですわ。」
「それならいいんだが、問題は爆弾の種類だ、ブレッドから依頼のあった品に間違いないんだね?」
「ええ、サーモバリック爆弾であることは確かなようです。」
「本当だろうね?」
「性能まで分かったみたいですから、調べはついたみたいですよ。」
「性能だと?!」
「ええ、資料に、トロー社開発中の新型爆弾に類似、性能の推定については、って、、。」
「おかしいな。」
「何がです?」
「ブレッドからの資料では、全くの新型サーモバリック爆弾ということだったんだ。」
「それがたまたまトロー社が開発中のものと似てたって事では?」
「その可能性もある、だが、それにしても全くの新型を調べ始めて、こう短い時間で他社製品との類似が分かるほど調べられるとは思えない。」
「それは、急いで分析したんですよ。」
「何の為に?」
「それは、爆弾が本当にサーモバリック爆弾かって、あ、、。」
伍長も何かに気づいたらしい。
「そうだ、サーモバリック爆弾のことは我々しか知らない筈の事、まして爆弾が見つかったら、処理はともかく調査は時間をかけて慎重にするのが普通だ、なのに、もう性能についての調査結果が出つつある、、。」
「まさか、ニューミルガン基地もサーモバリック爆弾のことを知っていた、、?」
「いや、それならノース運輸に最初から軍が来てる筈だ。」
「では一体どうして、、。」
「考えられるのは、まず爆弾押収後に密告があった可能性だ、爆弾がノース運輸からニューミルガン基地に運び込まれるのは通りすがりの人でもわかる。」
「でもなんでそんなことを?」
私は暫く考えた。
「、、すまないが、ニューミルガン基地での調査の状況について調べてもらえないか。」
「やってはみますが、時間がかかりますよ。」
「急いでくれ、調査が終わったら、オークヒルズ方面の警察や軍の警戒も解かれることになるからね。」
「その隙を衝いて本当の爆弾テロがあると?」
「憶測だといいんだがね、、。」
~つづく~
- 関連記事
-
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第17話~ 2008/07/24
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第16話~ 2008/07/15
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第15話~ 2008/06/26
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第14話~ 2008/06/23
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第13話~ 2007/12/30
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第12話~ 2007/11/21
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第11話~ 2007/11/01
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第10話~ 2007/10/31
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第9話~ 2007/10/27
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第8話~ 2007/09/13
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第7話~ 2007/06/23
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第6話~ 2007/06/03
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第5話~ 2007/06/02
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第4話~ 2007/05/28
-
The Short Story ~市を愛する者達よ 第3話~ 2007/05/27
-
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)